事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

内定取り消し・解雇・雇い止め・有期雇用労働者への待遇格差…この国の労働のいま

2020年9月16日東京新聞朝刊12版より。今日は労働関係の報道が目を引いた。

7面には20年春新卒者の内定取り消しが昨年比5倍の174人との報。コロナ禍が大きく影響したとの分析。記事中、内定取り消しは解雇に相当するもので客観的で合理的な理由がない場合は無効である旨が明記されている点が良かった。

その下にはコロナ関連での解雇・雇い止めが54,000人を超えたとの記事。その横にはUSJで一部アルバイトの雇用更新が取り止められたとの記事も。雇用の面からも生活・生存が守られる対策がますます求められている。ただ、政府・与党からは切迫感が感じられない。

6面には、いわゆる正規雇用と非正規雇用との間での賃金・待遇格差是正を求める、メトロコマース大阪医大最高裁弁論の記事。大阪医大訴訟原告側弁護士は「この裁判で賞与の支給が認められなければ、均等・均衡待遇のためにできた法律が無意味になってしまう」と訴えている。契約社員やアルバイトを安く使い捨てるような格差が是認されるようなことがあれば、そうした働かせ方がさらに広がり、この国の雇用はますます劣化していくだろう。最高裁では同様の課題で郵政訴訟も取り組まれている。ぜひとも勝利の喜びの声を聞きたい。

一方、11面「安倍政権と暮らし検証 新内閣に引き継ぐ課題は」におけるリクルートワークス研究所主任研究員のコメント中「非正規で働く人の待遇改善を進める制度『同一労働同一賃金』が始まった」という表現には違和感があった。「同一労働同一賃金」が労働現場で制度的に成立・確立したかのような表現は、実態にそぐわない。同氏は続けて「今ある賃金格差を合理的に説明できるよう、正規と非正規の仕事内容の違いを明確化する動きにつながってしまっている」と問題意識も語っており、それはそれでその通り。であればなおさら、安倍政権下で「『同一労働同一賃金』が始まった」としてしまうのは、誤解を招くのではないだろうか。

 

公務部門、公立学校でも、臨時・非常勤職員がどんどん増えている。私の活動している組合でも様々な取り組みを進めている。その話はまた近々。