事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

現「政権」?「体制」?の源流としての小泉純一郎氏が壊したものとは

こんな記事を読んだ。

 

菅内閣誕生で完成「2012年体制」の悪夢 二階氏が後継指名した最大の狙いは(47NEWS)


菅内閣誕生で完成「2012年体制」の悪夢 二階氏が後継指名した最大の狙いは(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 

「内閣」「政権」「体制」の整理、特にこれまで自分のなかでなんとなく使い分けてきた「内閣」と「政権」の明瞭な整理は、勉強になった。

「政権は、英国型の議院内閣制に倣って政府と与党の一体化を強調する」の一文は、安倍政権のあり方をよくよく表すものだと思う。

 

その上で。

同稿は中途、各内閣時の報道において「内閣」と「政権」が用いられる回数を比較し用語法や政治認識の変化を浮き彫りにしている。このアプローチもたいへん興味深かった。

 

ただ残念なのが、筆者がその傾向を不十分な比較分析により「第2次安倍政権に先んじた民主党への政権交代を経て加速した」と評していることである。何が不十分か。

記事付随の表における比較対象内閣は<中曽根→竹下→小泉→一次安倍→福田→麻生→二次安倍>であって、別途民主党政権時代については記事中に数字として表されているのだが、いくらなんでも<竹下→小泉>は時代が飛びすぎであるし、それでもそこを取るのなら「政権より内閣表記の方か多かった竹下内閣から、それが逆転した小泉内閣」をこそ分析すべきだろう。

比較対象の選定が不透明で、戸惑う。

 

その表によれば小泉内閣時に逆転し「政権」が多くなっているのである。であれば、「政権」傾向を強く作ったのは小泉内閣なのではないか。

で、ちょうど東京新聞2020年9月17日朝刊11版。特報面21面。

政治ジャーナリスト泉宏氏が首相の言葉の重さを語ったコメントを受けた記事一文。

「逆に泉氏が『言葉の魔術師』として挙げたのが小泉純一郎元首相だ。『自民党をぶっ壊す』と訴えて党総裁選を勝ち抜くと、郵政民営化に反対する面々を『抵抗勢力』と位置付け、〇五年九月の衆院選で大勝をもぎ取った」

これを通して、自民党内の郵政民営化反対議員を公認から外し、のみならず「刺客」と称して女性を中心とした対抗候補者を立てて相手を潰した。「抵抗勢力のおじさんvs小泉ガールズ」という構図を、テレビメディアは嬉々として流していた。

あのときの風潮は、目を覆いたくなるほど下品なものだった。まだ血気盛んな学生だった身で、大嫌いな(元)自民党大物議員に、思わず同情してしまうほどに。それを覚えている。

あの選挙を通して、政府・与党一体の小泉「政権」が形成されたのではなかったか。

本来仲間であるはずの相手に対しても意見の相違を埋めることなく自分の主張を押し通し、従わない者はすなわち「敵」だと吹聴し、権力を用いて徹底的に潰す。分断を作り出し賛同者向けに自分を売り出す。安倍政権批判で言われていたこと、そのまま小泉「政権」の成立過程でなかったか。

いまの「内閣」ならざる「政権」状況も、あるいは「体制」も、そこが大きな契機なのではないか。そして、それの正統な後継者が安倍晋三前首相であり、さらにその後継者が菅新首相なのではないか。

 

小泉純一郎氏が、本当に「ぶっ壊した」のはなんだっただろう。