事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

2022-01-01から1年間の記事一覧

学校事務職員の仕事~「多品種少量」「定型的業務」そして思考と実践の話

あと3か月もすれば学校を卒業して働き始める人たちがいるのだなぁと、ふと気付きました。 私たち学校事務の世界にも、新人がやってきます。 川崎市は13人の採用試験合格を出しています。このうちどれだけの人数が実際に入職するかはわかりませんが、歓迎の気…

賃金改善は「嵩上げ」ではなく「底上げ」で~行政職給料表構造下での昇任による賃金改善は労働者全体のものとはなり得ない~

様々な事情から、ひとつの事業体の中に複数の労働組合が併存しそして対抗関係にあることは、珍しくありません。 私が所属する学労川崎で言えば、義務制学校事務職員という組織対象が川教組(日教組)と重なっており、組合員の獲得という点においてもそれ以外…

「それを誰が実施しようとしているのか」~外見上は同じことであっても、実施主体によって「それ」の意図は変わるし結果も変わる

私が所属する全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)、同川崎支部(学労川崎)は、学校事務の共同実施・共同学校事務室に対して一貫して、反対する姿勢をとっています。 学校事務の共同実施が公に行政施策…

怒る教頭会と怒りの感じられない教職員組合 ~共同実施導入からセンター化&事務職員無配置校激増に至った大分県の事例

学校事務の共同実施について調べている中で、「大分県公立学校教頭会」作成の報告資料に行き当たりました。 http://oita-ktk.com/downroad_files/jimu2022/jimu04.pdf 「令和3年度 全国公立学校教頭会の調査~全国と大分県の比較~の分析」と題されたこの報…

会計年度任用職員の期末勤勉手当〜「制度だから仕方がない」ではなく、労働条件をめぐる差別に敏感でありたい

地方公務員の賃金確定が、各地で進行しています。 それに先立つ各地の人事委員会勧告では、民間企業の賃金実態を踏まえるとして、特別給=期末・勤勉手当を引上げること、引上げは勤勉手当に配分すること、とする内容が多くの自治体で出されました。 私の勤…

全国学校事務労働者交流集会~3年ぶりの全交流は頼もしい皆さんに助けられ、とにかく楽しいものでした

9/30~10/1にかけて、私も事務局メンバーを務める団体・全学労連の主催する「全国学校事務労働者交流集会」通称「全交流」が開催されました。 一昨年・昨年はコロナ禍を受けて中止を余儀なくされましたので、3年ぶりになります。 特に昨年は東日本大震災・…

デジタル化社会における学校での生き方 ~「個別最適」と「ウェルビーイング」とは異なる価値観を~ 2021年11月26日・全学労連交流集会基調

思い返すとこの基調を書くのには、かなりの時間と労力をかけました。 今年の人事院勧告に「ウェルビーイング」の語が入ったのは、個人的にはショックでした。 1年近く前の文書ですから今から見れば修正したい点もありますが、それでもあの日の集会でとどま…

「学校における働き方改革」により事務業務そのものが増えている。なのに「事務職員も教員の負担軽減の取り組みを」と。二重の要求を行っている自覚はあるか。

8月下旬に政府各省庁の来年度概算要求が公表されました。 文科省の概算要求を見ると、教職員定数の改善においては特段見るべき点はありませんでした。 小学校35人学級化が進行中であり、文科省は次の定数改善はその効果検証を踏まえて、という考えのようです…

初めて学会というものに参加してみた話~シンポジウム「AI活用・教育データの利活用とその課題」の感想を中心に

昨日、川崎市のカルッツ川崎で開催された「日本教育工学会2022年秋季全国大会」に参加する機会に恵まれた。 会員でもなければ研究者でも教員でもない私が、なぜ突然教育工学の学会なんてものに参加したのか。 実は、川崎市教育委員会が開催地として大会の共…

経歴初期の学校事務職員にはベーシックな業務に集中できる環境を保障すべき。それが豊かな学校事務にもつながるはず。

この仕事に就いて13年目になる。 当然ながら、給与事務にせよ旅費事務にせよ文書事務にせよ財務事務(これが業務比率としては圧倒的に多い)にせよ、経験年数の浅いころに比べてスムーズにできている。はずだ。 昔はマニュアルと首っ引きでやっていた職務で…

学校の粗大ごみ廃棄事情と「先送り文化」

すっかり間が開いてしまったが。これでは発信実践の名が泣く。 どうもこのところ、文章を書くにあたっては「書くぞ」と気構えてしまう傾向が強くて、そうすると途端に億劫になってしまって書かないままになり、たいへんよくない。 昔はもっと気軽に書き散ら…

給与・旅費・人事事務(総務・庶務事務)の電子化で事務職員の業務負担は軽減されるのか

学校事務職員の担当職務は都道府県や地域、さらには学校によっても差異がある。 それは、歴史的な経緯であったり労使確認であったり職員配置状況(特に市区町村費学校事務職員の配置の有無)であったり教育委員会事務局や首長部局が取る業務体制との兼ね合い…

共同学校事務室・共同実施が招く、学校事務に対する「他人事化」「無関心化」と学校事務職員への業務転嫁

#共同学校事務室 ・ #共同実施 が招く問題のひとつは、このような、学校内における #学校事務 に対する「他人事化」「無関心化」の拡大・進行だと考える。本来、学校事務も校務の一部であり、校長の掌理と責任のもと「調和のとれた学校運営」の一環として位…

学校徴収金事務と学校事務職員~「雑」な発想で増やされる仕事とその先

中教審が学校徴収金事務について、「学校以外が担うべきだけど学校がやらざるを得ない場合は事務職員に」という逃げ道前提のふざけた答申を出してから3年。 文科省が学校徴収金事務について、学校がやらざるを得ない場合をあらかじめ想定して事務職員の職務…

学校事務職員と「出世」の関係

学校事務という仕事の良いところは「上司がいない(※)」ことと「出世がない」ことだ、と渇破したのは誰だったか。 (※)一応いるが、向こうは教員出身なので学校事務の仕事がわからない。 全学労連関係の誰か、というか、学校事務労働運動(学労運動)の創…

「外部支援」の分析・消化ができない学校現場:《「片づけから始める働き方改革」から始まる事務室の環境悪化》のその後

おかげさまで、骨折した肘の固定は昨日外れました。 でも、しばらくはリハビリに通わなければいけません。 肘はまだ曲げ伸ばしに支障があります。重い物も持てませんし体を支えるのは怖いです。 さてそれはさておき。 前々回、こんな投稿をした。 it-zgrr.ha…

利き腕の骨折~12日間の経過

今日はお仕事の話はありません。 1月29日、某駅の階段で足を踏み外した。 いきなり脱線するが、後々ある悪友にそう報告したら「人の道はぎりぎり踏み外さないで済んでたのにな」と言われた。ほっとけ。 それはともかく駅の固い階段で足を踏み外し、私は宙…

「片づけから始める働き方改革」から始まる事務室の環境悪化

少し前のことになるが、ある業界雑誌で「片づけから始める働き方改革」という記事を目にした。 「学校片づけアドバイザー」として活動する元教員が、ある小学校の校長の依頼を受けその職員室で、物品配置変更等による環境改善を行ったレポートだ。 その中で…