「チーム」と、厄介で不採算なものについて
公立学校の学校事務職員はその名の通り、「〇〇学校」という部署に所属する職員だ。
小中学校はたいてい、「課」相当の部署…という認識。少なくとも川崎市はそう。
で、特定の部署に属する職員である以上、新人職員の指導・育成・サポートは任命権者や服務監督権者とともに、当該部署も一定の責任をもって担うのが通常だ。
これを他の部署の職員に丸投げし、あまつさえ部署内では指導・育成はおろかサポート(新人相応の業務軽減)さえしない、というのは本来あり得ない。
学校においても新人教員への扱いを想起すれば、おわかりいただけると思う。
学校事務職員について、少数職種であり部署内に同職種が少ない/いない以上、他部署の同職種に一定頼らざるを得ないのは仕方ない。
しかし、他部署に面倒見させておいて、部署内ではサポートもせずする気もなく経験者と同じ仕事をさせる。
それは無責任の極みであって、繰り返すがあり得ない。
そのあり得ないことを許してしまうのが、装置として他部署の職員に面倒を見させる仕組み、共同実施・共同学校事務室だ。
もともとあった、善意と自発性に基づく同職種間の助け合い支え合いとしての面倒見とは違う、仕組みとしての面倒見。
その仕組みが、部署の長=校長の無責任を生み出す。
チーム学校の具体化の中で、共同学校事務室は生まれた。
共同学校事務室は学校にとって、学校事務職員の育成・サポートの外部化だ。
学校事務職員の育成・サポートという、厄介で不採算なタスクを外部委託することにより、「チーム学校」は進むという。
「チーム」とは、厄介で不採算なものを切り捨てることなのか。
川崎市・学校事務職員パワハラ被害報道に寄せて…階層化が欲求する更なるハラスメント
「在職中、校長からパワハラ」 川崎市立小元職員の訴えに、調査中の市教委職員「該当しない」と発言:東京新聞 TOKYO Web
6月19日の東京新聞で、川崎市の学校事務職員へのパワハラ報道がありました。
校長から呼び出され「人のうわさをして楽しむような最低の人間」「あなたは価値のない人」などと叱責(しっせき)された。女性は情報漏えいを否定したが、計7~8回、長いときは40分ほどにわたり、「あなたのような人は必要ない」などと責められた
発言の一部は、同僚の教職員も聞いたと証言しているが、校長は否定
当時の市教委人事課長は「(校長は)元人権担当で素晴らしい方。こんな発言をする方ではない」と発言。別の担当職員は、調査が終わっていないのに「指導の必要性はあったので、パワハラには当たらないと考えている」などと伝えた
本件、学労川崎としては問題を把握できず、そのため対応もできませんでした。
相談先としての役割を果たせなかった点、力不足を痛感しています。
その上で、個々のパワハラに対する厳正な対応が、今後繰り返されない職場風土をつくります。そうなるよう、今後できることがないか検討していきます。
まずはその一環として、組合ニュースで事件を取り上げた上で、相談を呼びかけました。

「学労川崎」812号(2024年7月5日発行)|学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」
川崎市教委のハラスメント対応をめぐっては、人権オンブズパーソンからも「17年ぶりの意見表明」レベルで問題とされました。
川崎市 : 【報道発表資料】 市教職員のハラスメント問題についての意見表明
今回の報道によれば、人事課長が被疑校長の“過去の経歴”を理由にハラスメント発言の信憑性を否定したとされており、事実なら論外の見識。研修云々以前の問題です。
川崎では昨年、校長の長年にわたる苛烈なパワハラが発覚しています。

その直後にこの対応です。
川崎市教委の教職員人事課には、教頭と校長の間のキャリアを過ごす「担当課長」が多数います。
彼ら(というのも私の記憶の限り、そこに女性がいたことが皆無なのです)は教員出身で、校長の推薦を受けて教頭になり、担当課長をつつがなく終えれば校長として学校に戻ることになります。
そうした部署が、まともな知識見識を持たず校長のハラスメントに対して甘い対応に終始するのは、残念ながら必然といえましょう。
庁内組織である人権オンブズからさえ、ハラスメント対応に関する問題を指摘された川崎市教委。
そんな市教委が目下、学校事務職内に階層化と指揮命令系統を持ち込む「共同学校事務室」を導入しようとしています。
階層化はハラスメントリスクを高めます。その階層化が業務遂行の観点からは必要性が薄ければ、なおさらです。業務遂行上の正当性を証せない階層化は、ハラスメントを通したマウンティングを欲求します。
今の川崎市教委に、新たな階層構造を構築する資格はありません。
スマートスクールwebコンテンツ「学校づくりのヒント」の射程と期待
埼玉県の学校事務職員・栁澤さんが、教育通販カタログ・スマートスクールのwebコンテンツに連載を持たれています。
最新記事「教育財政領域と学校づくり(3)──学校はお金に弱い体制?」を拝読しました。
(といってもずいぶん前に読んでから、この投稿の公開まで時間がかかってしまいました)
学校づくりのヒント | 学校・保育現場向け通販のスマートスクール(スマスク)
今回の記事では、 “学校(教員)” が “お金に弱い・疎い体制となってしまった理由” について、展開されています。
記事はその理由を
①給与規程の複雑さと研修不足
②就学支援のマイノリティ的な位置
③学校財務の分業
の3点に整理し、それぞれその具体を示しています。
示されている具体的な場面については、同じく学校で働く事務職員の立場からしても容易に思い浮かぶものが多く、また説得力あるものでした。
何より、それらを体系的に整理してアウトプットしておられる点、ボキャ貧な私のボキャブラリーで言いますと「さすが」と感銘を受けたところです。
そこで描かれているひとつひとつの事象は、私が十数年の学校事務職員生活の中で目にしたり感じたりしたこととかけ離れた、特殊なものでは決してありません。
ただ、それらを普遍的課題に適用して展開しておられるところに、深い敬意を表します。
その上で気になったのは、この記事が誰に届くか、あるいは誰に向けたものとなるか、ということでした。
連載タイトルは 「教育財政領域と学校づくり」です。
「学校づくり」ですから、その最筆頭の主体となるのは、当然
校務をつかさど
る校長であり、あるいは
校長を助け、命を受けて校務をつかさどる
副校長や
校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)を助け
る教頭のはずです。
しかしながら、校長・副校長・教頭がスマートスクールのwebサイトにアクセスする機会は、なかなか想像できません。
対して、もっともアクセスする蓋然性が高いのは事務職員でしょう。
しかしそのことによって、
①給与規程の複雑さと研修不足
②就学支援のマイノリティ的な位置
③学校財務の分業
が「事務職員にとっての課題」という風になってしまうのは、良くないと思っています。
それでは、つかさどられる校務としての学校づくりの、魂が入らないと思っています。
この記事が校長に届き、問題意識を抱き、その対応のために上記3点に隣接した業務を担う事務職員に課題対応が指示される。
私はそういった経過を踏むことを、結構重視しています。
スマートスクールwebコンテンツは、決して事務職員のみをターゲットにした内容ではなく、つまり広く教職員全般に向けたものだと思います。
それが実際に多くの対象者に届くよう、期待します。
効果検証なき「業務の効率化」とそれが生み出す業務負荷・机上の「効率化」による業務増
長らく間が空いてしまいました。
業務繁忙期でしたもので、ご容赦ください。
その傍らでも、労働条件改善を目指す歩みは止めていません。
私の所属する学労川崎は去る5月1日メーデーの日、川崎市職員の休暇制度改善に目指す取り組みにおいて、新たな段階に踏み出しました。
「年次休暇の時間取得制限の撤廃」
「子の看護休暇の対象年齢引き上げ」
17年度の市費移管により後退したこの権利。
長らく組合要求として当局に復元・改善を求めて来ましたが、前進が見られない状況を踏まえて、市人事委員会への措置要求に踏み切りました。
要求書の内容や関係資料は、以下のリンクからご覧になれます。
支部の取組|学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川) web「連帯」




労働条件は労働者にとって根源的には、引き続き働き続けることができるか否かという問題です。
ましてこの件は、市費移管という労働者にまったく責任のない理由により、既存の権利が剥奪されたものです。
神奈川県に出来ることが、なぜ川崎市には出来ないのか。
「市の制度に合わせる」「全庁的な取り扱い」。そんな当局都合に延々と付き合い、通り一遍の要求とやり取りで終わらせてはならないと考えます。
この問題、今後も様々に発信していきます。
さて。前置きが長くなりました。
というか、前置きの方が長くて本題の方が短い投稿になりそうです。
「業務の効率化」のお話。
業務の効率化、皆さんはどんなイメージをお待ちでしょう。
おそらく、悪いイメージをお持ちの方はほとんどいないのではないでしょうか。
使用者側であれ労働者側であれ、「効率化された方が良いよね」という素朴な希望としては、一致すると思います。
ただその上で。
ずいぶん前ですが、これについてTwitterで発信しました。
https://x.com/it_zgrr/status/1602507077364350976?s=46&t=17pemHTiDWn1AcCzD-Vftw

「業務効率化」を否定する人は少ないと思いますが、内容を顧みずにただ全肯定するのは誤りです。
例えば「誰にとっての」業務効率化であるかという吟味は大切です。業務効率化は必ずしも業務フローの各段階すべてにおける効率化を意味はしません。個々の段階ではかえって負担増になる場合もあります。
業務効率化によって生じるとされる余裕をアテにした新たな業務付与が、効率化効果が表れる前から予定されているパターンは悪質です。
えてして、効果を待たずに新業務が付与され平行業務になる。そればかりか、机上の想定ほど効果が生じなくとも業務付与のために効果をでっち上げることも起こります。
業務効率化が想定通りに進まないということは当然起こりうること。その時に必要なのは、なぜ効率化が進まなかったのかという真摯な点検です。
それなのに、先に効率化後の後釜を用意してしまい「後がつかえてるから」と効果を捏造する事は、現場の業務負荷を高めるばかりか組織風土をも劣化させます。
また、こういったことも書きました。
https://x.com/it_zgrr/status/1727631714032488596?s=46&t=17pemHTiDWn1AcCzD-Vftw

「既存業務を効率化できる体制を組んだから、空いた時間で新たな業務を担おう」というのが、共同学校事務室・共同実施の考え方。
新たな業務を担うとすれば実際に共同学校事務室等による効率化と空き時間の発生が確認されてからであるべきはずですが、なぜか体制を組んだだけで効率化が前提化します。
「共同学校事務室・共同実施をやれば既存業務は効率化できる」ということをあらかじめ前提化すると、実際の効果検証はなされずただ机上の「効率化」との差し引きで新規業務が押し付けられ、その結果単なる業務増となります。
最低限、効果検証は必須であり、新規業務云々はその後の話であるべきです。
共同実施・共同学校事務室による業務効率化について言えば、それが文科省・教育委員会の主導のもと進められる政策であることから、その意図は明らかです。
私たち学校事務職員の多くが業務の効率化に求めることは、それによって自身の業務負担が軽くなることではないでしょうか。
(中には「学校運営参画」「マネジメント」云々と中間管理職志向をあからさまにし、既存業務を軽視する価値観から「効率化」を希求する方もいますが)
しかし。
教育委員会当局は、私たち学校事務職員の“業務負担を軽くするため”に、わざわざ器(制度)を作ってお金(旅費)を出して共同実施・共同学校事務室を設置してくれることは、ありません。
そこに、私たちが求める「業務効率化」は、ないのです。
川崎市立学校教職員大量処分~出退勤登録義務違反校長の経歴から問われる川崎市教委の「在り方」
前回に続き、先日の川崎市立学校教職員の大量処分について。
今回は出退勤登録の義務違反について。
出勤登録とは出勤簿の電子化
川崎市職ではかなり前(少なくとも15年以上前)から、紙に押印する出勤簿ではなく、ICカードで出勤登録をする電子出勤簿が導入されていました。
学校においても学校用務員・学校給食調理員といった市費負担職員は、かねてその仕組みが適用。
ただ教員・学校栄養職員・学校事務職員といった国庫負担教職員は、県費負担職員であった2016年度まではあくまで県の服務管理・様式が用いられ、紙に押印する出勤簿でした。
2017年度に給与負担が市費移管されたことで、国庫負担教職員にもICカードが配られ、それにより出勤管理がなされることとなりました。
(なお、いまも非常勤講師は紙の出勤簿です)
勤務時間管理として出退勤登録へ
当初はあくまで出勤簿の代わりでしたので、出勤時にのみICカードで出勤登録をする仕組みであり、退勤時は不要でした。
しかし働き方改革の政策の中で勤務時間の管理が迫られるなか、2018年から退勤登録も導入されました。
はじめは学校以外の市職場に、その後しばらく遅れて、学校にも導入という経過でした。
以来かれこれもう5年超。出勤時と退勤時にはICカードでその登録をすることとなっています。
登録しないとどうなるの
電子化された出勤簿は給与支給の根拠となっており、そのため月々の各職員の勤務状況(出勤・退勤・休暇等)を確定させる「月締め」という業務があります。
日々の勤務状況の管理は当然ながら管理職の職務ですが、月締めについては給与事務であるとの位置付けのもと、学校においては基本的に学校事務職員の職務です。
学校により教頭がやっている(抱えて離さない)ところもあるようですが、市費移管時に学労川崎は「県費事務における月末の給与資料報告と同じ機能なので、給与事務として事務職員の職務」との説明を受けた経過があります。
それで、この月締めにあたって出退勤の登録欠損があると、そのまま月締めはできません。
所定の勤務時間、始めから終わりまで勤務していた(あるいは休暇を取っていた・出張で職場を離れていた)ことが明らかでない以上、そのまま満額給与支給するわけにはいかないからです。
じゃあどうするか。
管理職たる校長ないし教頭が、日々の出退勤登録状況を電子システム上で確認し、登録漏れがあった場合は当該職員に出退勤時間を聞き取ったうえで(あるいは自身の目視した時間をもとに)、「手入力」します。
ただ管理職の中には、日々の出退勤登録状況のチェックを怠る方もいます。
その場合しばしば、月締めをしなければならない事務職員の方で管理職に対応を促したりします。
ともあれ。
出退勤登録、たまのうっかり忘れなら、それでおしまいです。
別の誰かの仕事は増える
それで、おしまいなんですが。
ただ、出退勤登録の懈怠というのは、上記の通り校長・教頭・学校事務職員に余計な業務を強いることです。
私自身、この業務を担当していてよくわかりますが、出退勤登録を怠る人は決まっているものです。
私は別に管理者ではありませんから、確たる信念があって出退勤登録をボイコットしているのなら全然構いませんし、なんなら応援したい気持ちもあります。
でも、そういうわけでもないようで。
そうなると、いわゆる「怠慢」で同僚の仕事を増やしているということで、増やされる側としては良い気持ちはしません。
出勤日の3分の1以上で出退勤登録をしなかった33人。その方々は3日に1回、別の誰かにしなくて済んだ業務を強いてきたことになります。
子どものため?
それで、旅費不正受給でも同じようなことを書きましたが。
教員のこの手の話をすると、決まって「子どものためだった」「児童生徒対応を優先して忘れてしまった」みたいな話が出てきます。
より大切な何かのために、抱える責務を敢えて投げ打ったり忘れてしまうことは、確かにあるでしょう。
でも、5秒とかからない出退勤登録を、日常的にしなかったこと。それを「子どものためだった」と言うのでしょうか。
元「服務監察担当課長」が「服務義務違反」
そして、懲戒処分を受けた教頭1人と校長2人。
年間110日~192日(年間平日はだいたい240日)、出退勤登録をしなかった管理職。
実は全員、お会いしたことがあります。
とりわけ校長2人についてはよく存じ上げており、そしてだからこそ、心底呆れた気持ちになりました。
お二人とも、かつて川崎市教委で「教職員人事・服務監察」の担当課長だった方。
その職にあった当時、学校事務職員向け研修の、企画・開催の責任者でもありました。
当時私は組合で研修問題の担当でしたので、何度も直接やり取りした関係です。
ただの校長でももちろん問題ですが、もともと市教委の課長として現場に指導していた方が、しかも2人も、日常的に出退勤登録をしていなかった形です。
より増して、問題は大きいと考えます。
市教委の責任と今後の対応
なぜ、かつて服務監察担当課長まで務めた現役校長が、服務義務違反に及んだのか。
あるいはさかのぼって、後にこのような服務義務違反に及ぶ方をなぜ当時、服務監察担当課長に充てたのか。
鶏が先か卵が先か。どちらが先でも結構ですが。
当該校長の経歴を踏まえれば、本件は単なる個人の服務義務違反にとどまらず、川崎市教委の人事政策が問われる事件です。
加えて前回の投稿と重なりますが、旅費不正受給で処分された校長3人に加えてこちらの2人も、60歳超の「暫定再任用校長」です。
定年引上げの施行とともに今年度から始まった「暫定再任用職員」。これについて総務省は、「管理監督職に充てることについては慎重に判断する必要がある」としています。
これも前回投稿の繰り返しになりますが、そもそも「再任用校長」自体全国的には極めて例外です。
他の自治体の動向とも総務省の見解とも異なる形で「(暫定)再任用校長」を多用してきた川崎市教委。そこから5人もの懲戒処分被処分者を生み出しました。
この点でも市教委の責任は大きいし、人事政策について何らかの対応が必要でしょう。
「在り方検討」
川崎市教委はいま、「学校事務職員の在り方検討」を進めています。
「学校事務職員の能力活用」「職務・役割分担の見直し」「質の向上」「人材育成」などがキーワードです。
しかし、校長5人を含む200人超の教職員が処分される事態に至った今般。
川崎市教委当局や校長の「在り方」の方が、よほど議論されるべきではないでしょうか。
川崎市立学校教職員大量処分~旅費不正受給について現場から感じること
昨日、川崎市教育委員会は多数の市立学校教職員に懲戒処分等を発したことを公表しました。
私の知るところも少なくなく、また感じるところも多々ありましたので、以下それを残しておきます。
今回は旅費の不正受給に絞って。
制度のお話
川崎市では昔から、自家用自動車等の出張利用は基本的に認められていません。
ここで言う「自動車等」は、自動車・バイク・自転車を指します。
自家用と公用
「自家用」ですから、公用車なら可です。
ただ公用の自動車やバイクが存在する学校は知る限り存在しません。
公用自転車であれば、どの学校にも複数台あるはずです。
自家用自動車等による出張の実態
基本的に認められていない自家用自動車等による出張。
しかし実際には、広く行われていました。
自身が出張で教育会館に行けば、自家用であることが一目瞭然の自転車が駐輪場にズラリ。
自校が研修会等の会場になれば、どう見ても自家用自転車、さらにはバイクでも来る来る、他校教職員。
こうした実態は、学校の教職員だけでなく教育委員会の課長級職員にも知る者は多かったはずです。
(課長級職員には教員出身者も多数おりますし)
今回の処分
自家用自動車等の出張利用。
それ自体制度違反ですが、今回の処分では100%不問に付されています。
今回の処分の理由は
「自家用自動車等を利用したこと」
ではなく
「実際には払っていない交通運賃を払ったと虚偽の届け出をして、その運賃額を受給したこと」
です。
この点、自家用自動車等の出張利用を原則認めないという制度の是非とは、まったく別の話だと私は考えます。
「制度が悪い」?
そもそも、出張に自家用自動車等を利用できないという制度はおかしいのではないか。
そういう意見は意見で、もちろん成り立つでしょう。
既存の制度を問題視し改善を希求することは、とても重要です。
しかし。
制度が悪いのだから乗ってもいないバス代を請求して良い、という話にはなりません。
私自身はこれまで、川崎市の様々な既存制度を問題視し、改善要求に取り組んできたと自負しています。
そうして、実際に改善を勝ち取った事柄も複数あります。
そうした立場だからこそ、制度の問題と公金の虚偽請求・不正受給を混同した議論は、やめてほしいと思います。
教員いじめ?
川崎の学校の話ということで昨年のプール水問題と絡める声も、ネット上に散見されます。
しかしこれはまったく別の話。
「別の話」と言うと、「教員不足とは別の話」と公言してしまった福田市長とカブるのでアレですが…。それはさておき。
特殊性の高い設備の操作上のミスと、乗ってもいないバス代を請求した行為を同列視するのは、いくらなんでも筋が悪いと思います。
「子どものためだった」?
児童生徒対応のためにギリギリまで学校にいて、それで早く移動できる手段を使った、という声。
どうやら当事者の教員たちの中にも、そう述べている方がいるようです。
ただ現場を知る者としては、ほとんどについて因果関係が逆だと推察します。
最初は交通機関で行くつもりだった、しかし児童生徒対応のため乗るはずだった交通機関に乗れなかった、次も同様になる可能性を考えて以後自家用自動車等を使うようになってしまった。
そういうことなら確かにそうでしょう。
しかし申し訳ないけれど、違うと思うのです。
証明材料となりうること。それは処分事由の出張のうち、自宅直行ないし直帰の割合。
それから当該職員が通勤に自家用自動車等を使用している割合。
おそらくどちらも、かなり高い数値となるでしょう。
学校と出張先の移動の問題よりも、自宅と出張先の移動の問題。
自家用自動車等を利用した理由の多くはそれではないかと思います。
なお、ここまでのことが全部的外れだったとしても。
「子どものため」だったから、乗ってもいないバス代を請求して良い、という話にはなりません。
そんなことに「子ども」をダシにするのは、いかがなものでしょう。
当局の肩を持つのか
労働組合役員の立場で、当局の処分に対する批判の声にこうして反論するのは、かなり逡巡しました。
一方で旅費事務は学校事務職員である私にとって重要な職務であり、その公正な執行は責務です。そこには私なりの職業倫理も宿っています。
また、私も一市民として、川崎市に納税している身でもあります。
本件。公務員が不正に公金をポッケに入れた、というお話。
そうした話について、労働者無条件擁護でいかなる処分も許さない、という立場には私は立てません。
処分の問題
ただ、発端となった昨年3月の処分と均衡が取れているかは、疑問を持ちました。
昨年の処分では、校長が減給3月(ただし再任用終了のため実質3日)、教頭が減給1月でした。
一方今回の処分には校長3人と教頭1人がいますが、いずれも戒告です。
ついでに言えばこれは処分そのものとは違いますが、昨年と違い報道にも、旅費を不正受給した校長が校長を務める学校名は出てきていません。
昨年の処分理由では、当人の不正受給よりも先に筆頭に、同校で不適切な処理が行われてることを知りながらすぐに対応しなかったことが挙げられています。
強いて言えばこれが理由でしょうか。
校長の問題
昨年の処分もそうでしたが、今回不正受給で処分対象となった校長3人も全員60歳超です。
そもそも全国的には極めて例外的な「再任用校長」が、川崎では当たり前に横行していることは、妥当なのでしょうか。
さらに、今年度から地方公務員には定年引上げと合わせて役職定年制が導入されています。
60歳を超えたら管理職たる校長からは降りるのが、法的にもスタンダードとなりました。
しかしながら川崎市教委は、特例規定を適用し、引き続き60歳超の校長を多用しています。今年度も60歳超の「暫定再任用校長」を多用し、また来年度以降も特例規定の適用により60歳超校長の任用を検討しています。(2月21日16:30訂正)
私の所属する組合は、これに反対しました。
「学校は特別」「教育職は特別」といった意識は、労働現場としての学校をガラパゴス化させ、ひいては給特法等に代表されるように他では通用しない劣悪な労働条件を導入・温存させるものだと考えたためです。
別稿に譲りますが、同日に処分が公表された服務規程違反の被処分校長2人も、60歳超つまり特例措置校長です。
川崎市教委の人事政策そのものの問題も、浮き彫りになります。
そんなわけで、全然当局の肩は持っていません。
つづく
川崎市教委の人事政策という点では、同日のもう一件。出退勤管理をめぐる処分にもつながります。
それは次回に。
※2月17日7:25、一部加筆修正
