今月17日、内閣と自民党の合同により、中曽根康弘元首相の合同葬が開催される。
内閣という行政機関が特定政党と合同で葬祭行事を行うこと、新型コロナ禍により多くの人々が職や生業を失い生活に困窮するさなかに国費から多額の経費を支出すること、同じく新型コロナ禍のなかでいたずらに参列者を集める場を内閣と政権与党が設けることなど、もとより多くの問題が指摘されてきた。
そのうえこのほど、文科省が国立大学法人をはじめとする所管機関に対して、この合同葬に合わせた弔意表明を求める通知を行ったことがわかった。加えて、都道府県教育委員会にも同様の参考通知がなされ、そのなかでは市区町村教育委員会への周知も盛り込まれていると、報道されている。
こうした動き対しては、野党や報道から多数の批判が出されているので、ここで蛇足することはしない。
そのうえで。そもそも、中曽根康弘元首相とはどういう人物なのか。
学校関係労組の役員としては臨教審の話をすべきかもしれないが、ごめんなさい、勉強できてないので別の話で。
学生時代、労働法ゼミでその課題で論文に挑んだ(そしてあまりの難解さに熱を出して挫折した)立場としては、国鉄分割民営化が大きい。
あれは本当に、陰鬱となる経過であった。
中曽根元首相は国鉄分割民営化について後に、国労を潰し総評を潰し社会党を潰すことが狙いだったことを述べている。労働組合潰しのための分割民営化は「国家的不当労働行為」であり、不法不当そのものの行為である。
この国鉄分割民営化の過程では数々の労働運動圧殺攻撃、労働者への圧力(今で言えばパワハラ)や職場追い出し、専門外業務への強制配転が横行し、多くの労働者が絶望や悔恨のなかで自殺に追い込まれた。そして、それを上回る多くの労働者が職を追われた。
「ひとり殺せば殺人犯、百人殺せば英雄」というのは戦場のあり方を表す有名なフレーズだが、かつて軍主計士官だった中曽根元首相は、非戦時下の国内で、首相の立場から労働者に対してその牙をむいた。
あれから30年。日本の労働運動はいまだあの水準を望むべくもない。そしてそのかん、労働者の立場は悪化の一途をたどっている。
私は労働者として、中曽根康弘氏に対して弔意のカケラも持ち得ない。
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なお、当時も自民党は大嘘をついている
最近だとTPPみたいである。
詐欺師は大体「ウソつかない」と言うのだろう。