あれやこれやとしていてまだ書けていなかったが、文科省の2021年度予算・概算要求が発表されている。例年より一月遅れだ。
教職員定数改善をめぐり、学校事務職員の定数改善要求は明示されなかった。
一応、少人数学級の実現に関する定数要求は「事項要求」として予算案策定までに折衝することとされているが、ここに学校事務職員の増員が盛り込まれる見込みがあるとは、個人的にはあまり思えない。
ところで、事務職員の定数改善に関する過去の概算要求と予算を振り返っておく。
15年度概算要求:事務職員500人→予算:主幹教諭・事務職員100人
16年度概算要求:副校長・主幹教諭・事務職員等410人→予算:主幹教諭・事務職員80人
17年度概算要求:事務職員・養護教諭・栄養教諭等300人→予算:事務職員・養護教諭・栄養教諭等70人
18年度概算要求:事務職員400人→予算:事務職員40人
19年度概算要求:事務職員400人→予算:事務職員30人
20年度概算要求:事務職員30人→予算:事務職員20人
なお、より詳細な分析は過去の全学労連ニュースに詳しいので、興味のある方は見てほしい。
こうしてみると、18・19年度概算要求の要求数が目を引く。
これは17年3月成立・4月施行の学校教育法等改正、例の「つかさどる」への変更と「共同学校事務室」の法制化が背景にあると見て間違いないだろう。
業界内では「『つかさどる』への法改正は学校事務職員への期待の表れ」と吹いて回る者あり。地教委当局は当局で「法改正も踏まえこれからの学校事務職員の役割・あり方を検討していく」という、受け取る者によって「期待の表れ」とも「合理化の脅し」とも受け取られる表現を多用し本心を見せない発言のおおもととなった。
しかしいずれにしても、予算化の結果は惨憺たるものだった。
そうこうしているうちに、20年度概算要求では文科省の要求も一気に後退した。
今年7月に教員と事務職員の標準職務例を文科省は通知した。
これを何らかの形で概算要求にも表現するのかとも思ったが、それは見られなかった。事務職員だけでなく、教員についても。
標準職務例は「学校における働き方改革」がベースになっている。
この概算要求は、文科省から学校現場への「増員なき働き方改革」の通告なのではないか。