GIGAスクール構想に振り回される現場実態:「教育データの利活用」について報告してきた話
去る3月9日、衆議院第2議員会館で行われた集会「デジタル化される医療と教育-人間の生涯管理に道を開くデジタル化」にお招きいただき、教育分野におけるデジタル化の問題についてお話をしてきた。
ご承知の方も多いと思うが、公立義務制学校においては19年12月に打ち出されたGIGAスクール構想がコロナ禍を背景に加速し、児童生徒1人1台のコンピュータ端末整備や高速通信環境の整備が今年度中に行われることとなっている。
もっとも、コロナ禍に便乗した感のある物的整備の加速は教育委員会や学校現場に無理なスケジュールを強いることとなっており、当然ながら間に合わない自治体の存在も報じられている。
「端末年度内配備 7市町村間に合わずGIGAスクール構想 需要増で納品遅れ」 (新潟日報 2021/03/12 13:00)
納品作業や工事に当たり、業者の都合や受け入れ体制の都合によりやむなく、夜間や休日に対応する例も生じているという。
「働き方改革」が聞いて呆れる。
学校現場が望んだわけでもないGIGAスクール構想に学校現場は振り回されている。
しかし文科省はそんな現場の実情に痛痒を感じることもなく、このほどは1人1台端末を積極的に利活用しろ、とわざわざチェックリストつきで指示してきている。
GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について(通知)https://t.co/oq6BUqSLqN
— 伊藤拓也(全学労連) (@it_zgrr) 2021年3月12日
利活用を目的化する通知。
伊藤拓也(全学労連) on Twitter: "GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について(通知) https://t.co/oq6BUqSLqN 利活用を目的化する通知。"
政策ありき・予算先行で莫大なカネをかけてから、わざわざ「使え使え」と号令をかける。
公的予算の使い方として明らかにおかしい。
こうした点は国会でも追及されてしかるべきだと思う。
3月9日の集会でのお話も、入口はGIGAスクールから。
でも上記のような話はしていない。
この日は<デジタル化で狙われる「教育データ」> と題してお話をさせていただいた。
GIGAスクール構想のその先にある、「教育データの利活用」について、雑駁ながらそのアウトラインと問題意識をご紹介したものだ。
うまく話せるか不安もあったが、往生することもなくなんとか報告しきり、会場からも複数、ご質問や感想をいただいた。お話ししてよかったな、と思ったところだ。
当日の映像・資料は下記からご覧いただけます。ご興味のあるかたはどうぞ。
3・9 院内集会「デジタル化される医療と教育」 - YouTube
ともあれ、この問題をめぐってはまだまだ知らなければいけないこと・学ばなければいけないことが山積しているということも強く実感した。
引き続き、研究・検証していく。