事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

中教審答申とマイナンバー:「令和の日本型学校教育」と新たな監視管理の形

今日は中教審が「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」と題する答申を採択したという

中身はまだ見ていないが業界紙の記事によれば、いつものように・例によって例のごとく、「Society5.0」「予測困難な時代を生きる」「予測不可能な未来社会」「自立的に生きる」「個別最適な学び」「協働的な学び」「主体的・対話的で深い学び」といったワードが散りばめられているようだ。

 

この手のワードが並ぶ作文を目にするのにはそろそろ辟易しているのが正直なところ。

「Society5.0」なる概念の妥当性には疑義も呈されているが、それは顧みられることはない。

「予測困難」「予測不可能」というのはかねて、Society5.0や人工知能・情報通信技術の発達に絡めて言われていたのに、新型コロナウイルス感染症の拡大があって以降はこれを「予測困難」の根拠に加えるようになった。あまりに無節操だし、多くの犠牲が生じている事案の取り扱いとしては不謹慎ではないか。

のっけからこの調子なので気が重い。

 

ICTの活用をめぐっては、学習履歴や生活指導データ、健康診断情報の利活用が挙げられているという。

このかんの動きを振り返ればやはり、というところだが、これについてはGIGAスクール構想からデジタル庁設置に代表されるデジタル国家社会構造改革の線上にあるものとして見なければいけない。

 

目下、ワクチン接種情報をマイナンバーと紐付けするということが言われている。

これはもろに政治主導・政治案件として、内閣閣僚のトップダウン・スタンドプレーで言われていて、ゴリ押しされれば制度設計する国家行政機関も実際に接種にあたる地方自治体もこれまでの準備がおじゃんになり大混乱に陥ることは間違いないという。

てゆうか、今年前半にはワクチン接種開始とか言ってたのに今ごろになって接種管理の方法で新しいことを言い出すとか今の内閣に計画性というものはないのかという話だ。

 

話がそれた。

それはさておき、中教審答申で「利活用」の対象として挙げられた学習履歴や生活指導データ、健康診断情報も、将来マイナンバーとの紐付けが狙われているのは間違いない。

転居して学校(学校設置者)が変わっても引き続き使えるもの、として。

 

「令和おじさん」が構築を目指す「令和の日本型学校教育」。

それは単なる教育政策方針ではない。

マイナンバーを核とした市民監視管理体制の一端を、公立学校が、そこの教職員が担わされることになるのかどうかという問題だ。