事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

「オンライン」はオンラインだけでは成立しない

新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が6000人を超えた。東京、千葉、愛知、大阪など実に17都府県で最多を更新したという。

初めて3000人を超えたのが12月12日。そこから1か月にも満たない間でさらに右肩上がりに増え続け、これだけの人数に達したことになる。

 

明日には東京、神奈川、埼玉、千葉に緊急事態宣言が再発令されるといわれている。

 

菅首相は4日の会見で「経路不明の感染原因の多くは飲食によるもの」と強調。5日の書面回答でも感染拡大の背景として「飲食の場面が主な要因」としている。

経路不明なのになぜ感染原因が飲食だと言えるのか、ちょっと理解しがたいのだがそれはともかく、飲食業が必要以上にスケープゴートにされているようにも映る。

加えて、書面回答の「これまでも全国で飲食店の営業時間短縮を進めており、北海道、大阪などしっかり行った地域では効果が出ている」なる説明は、政治的に親密な知事の自治体を殊更に持ち上げているようにも映る。

なお、冒頭の通り首相太鼓判の大阪府は今日、新規感染者数最多を更新した。

 

ともあれ緊急事態宣言に伴い学校はどうなるのか。

政府はすでに、一斉休校の要請は行わないとしている。さらに萩生田文部科学大臣はもう一歩踏み込んで、地域の一斉休校について「子どもたちの健やかな学びや心身への影響の観点から、避けることが適切」とし、緊急事態宣言に伴う一斉休校の回避を要請した。

こうなってくると「緊急事態宣言」の意味がわからなくなってくるような気もするが、ともあれ2月から5月のような形の休校措置はないようだ。

ただ、学校内でクラスターが発生するなどの事態となれば当然その学校は休校となるだろうし、事態によってはその期間がどれだけになるのか予断は難しい。

 

そうしたなか一部には、長期休校を見越してオンライン授業の実施を当然とする発言が目につく。

 

曰く

 

「準備期間は充分にあった。前回と違って言い訳は効かない」

「オンライン指導がどのくらい準備できているかが問われる」

といったものだ。

 

妙に強気で脅し文句めいた発言だが、政府系教育学者もそのような言い方をしている状況だ。

念頭には補正予算により整備された、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用があるようだ。かねてICT教育や教育工学を推進している立場からすれば、さっそく乗りたいウェーブなのだろうか。

 

しかし実際には、まだ端末自体納品されていない学校は全国に多数ある。


伊藤拓也(全学労連) on Twitter: "緊急事態宣言の再発令を前に、オンライン授業をめぐる発言が増えています。GIGAスクール構想に伴う1人1台端末の活用が言われていますが、現場ではまだその端末が届いていない学校が多数あります。私の勤務校の端末納品は3月です。"

仮にすでに納品されていても、オンライン授業に活用できるだけの準備をする時間などあったとは思えない。

モノがあってもすべての児童生徒が最低限の操作方法を習得し、かつ教員が指導技術を習得し、実施に際してのルールや共通理解が形成されていなければ、オンライン授業など成立しまい。

GIGAスクール構想に基づきそれらの条件整備を行う「GIGAスクール支援員」の配置は、多くの自治体でこれからのはずだ。

 

萩生田文部科学大臣は明日、1人1台端末の早期納品を業界団体に要請するという。

もともとタイトな納期。緊急事態宣言下でも、メーカーや配送業者、納入・保守業者はもっともっと働けということか。

受け入れる学校も即座に対応しろということでもある。暴挙だ。

 


伊藤拓也(全学労連) on Twitter: "緊急事態宣言下でも、メーカー、配送業者、納入・保守業者は在宅勤務なんてせず今までよりももっと現場に出て働け!ということですか。 https://t.co/MQDcUfliCk"

オンラインオンラインと言っても、その条件整備にはかならず人が介在する。

そのことを忘れていないか。