事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

「崩壊するアメリカの公教育 日本への警告」で描かれている教室は、GIGAスクール構想の先にあるそれではないか

今日はにゃんにゃんにゃんの日だということで、Twitter上でも猫関係のツイートが多いらしい。

購読している東京新聞の朝刊一面「筆洗」も猫ネタだった。駿府城の出世猫ネタ、面白かった。

 

ただそれはそれとして、例年そんなに猫だったかな今日は。と思わんでもない。

 

そんなことを言いつつ、我が家の2匹の猫にも猫の日祝いの名目のもと、今日はチュールを与えたのだけれど。

f:id:it_zgrr:20210222214633j:image

(これは昨日)

 

それはそれとして。

 

実はもう数週間前になるのだけど、鈴木大裕氏「崩壊するアメリカの公教育 日本への警告」を読んだ。


崩壊するアメリカの公教育 - 岩波書店

 

かねてから気になっていた本だったのだけど、読了後の感想は「なんでもっと早く読まなかったんだ私は!」というもの。それくらい、多くの示唆を与えてもらえる本だった。

日本での生徒としての学校生活、アメリカ留学による生活、日本の公立中学校教諭としての生活、さらに再渡米しての研究生活と、同時に子の保護者としての生活。そうしたことを通して見知り学んだことが説得力をもって記述されている。

 

本書の良さを敢えてふたつに絞る。

 

ひとつには、新自由主義教育改革を進めたアメリカの「公教育」がどうなっているのかを、平易かつ詳細に報告されていること。「公教育」からイメージされる公立学校のあり方の日米のギャップを理解し意識して、日本の読者にそれをわかりやすく伝えている点がとても良い。

もうひとつには、そんなアメリカの公教育のあり方を単に一国の報告や事実の叙述にとどめず、その悪い意味での「普遍性」を告発しあるいは警鐘を鳴らす観点が全体を通して貫かれていること。「アメリカの公教育」の枠にとどまらず、あるいは「アメリカ」の枠にも「公教育」の枠にもとどまらず、さらには「教育」の枠にもとどまらず、「社会」を読み解く上でもぜひ読んでおく本だと思う。

 

「日本への警告」という副題はまったく伊達ではなかった。

 

本書は2016年に刊行されている。

そんなわけで今さら読んだというのがちょっと恥ずかしいなぁというところはあるのだけれど、今読んだからこそより迫るものがあったのではないかとも思う。(というかそのくらいの言い訳は許してほしい)

 

GIGAスクール構想を契機に始められようとしている、学校教育諸活動のコンピュータ化、教育データの利活用、児童生徒・教育活動に対するプロファイリング、教員の「ティーチングからコーチングへ」なる役割変化……これらは本書で書かれるアメリカの公教育のあり方と重なる面が多い。

 

すでに多くの方々が読んでいるものを挙げてこういうことの恥は承知だが、それでも言いたい。

まだ読んでいない人にも、今こそ読まれるべき本だと思う。