事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

「手続きをやらせること」は学校事務職員の仕事?

1ヵ月以上ご無沙汰してしまった。

 

学校事務職員にとって4月は一番の繁忙期だ。

 

新規任用や異動により着任した教職員に関する、給与・手当・社会保険等の事務がまず待ち構えている。

これらの手続きの締切はなかなかにタイトであり、それでいて手続きに漏れ・遅延が生じてしまうと当該職員に金銭的損失を与えかねないものであるだけに、量以上に質的に緊張感を伴う業務である。

 

しかも困ったことに、その関係の書類書きにしてもコンピュータシステム端末の入力にしても、早々に済ませてくれる職員ばかりではない。

こちらは記入例や入力手順書を用意し締切日を伝えるわけで、まあもちろんその締切日というのは4月1日から数えて今日明日という訳ではないのだから、そりゃぁそりゃぁ締切日までの間で後回ししてもその人の自由ではある。あるのではあるけれど。

 

ただ、私の十数年の学校事務職員生活の経験において、後回しにする方の少なからずは、そのまま忘れてしまう場合が多い。

締切間近になってこちらから声をかけてやっと思い出し、そして思い出すがすぐにはやらずそのまままた忘れかける。

 

別に私個人が得するわけでも損するわけでもないから、締切が過ぎても放っといても良いのかもしれない。

が、手続きの遅延について教育委員会や共済組合が問い合わせてくるのは、学校事務職員である私に対してであろうし、「本人がやろうとしなかったんです」と言っても「そこをやらせるのがお前の仕事だろう」的なことを言われるだろう。

 

と、そこで気付く。

「そこをやらせるのがお前の仕事だろう」という認識は、私自身の中にもあるのではないかと。

 

例えば他校の事務職員が、「伝達はしたけど、本人が書類出さないから放っときました」と言っていたら、果たして私はどう反応するだろう。

 

「いやー、気持ちはわかるけど、管理職からも言わせるなりなんなりして書類出させなきゃまずいでしょ」

 

結局そんなことを言いそうな気がする。

その反応の背景には、当該職員が必要な手続きをしなかったことによる諸々の問い合わせ対応だったり事後対応だったりにおいて、結局学校事務職員が余計な手間を煩わされることになることがわかっていて、だったら面倒でもなんでも口うるさく言ってスケジュール通りに業務をこなした方が楽だろう、という打算が大いにある。

 

ただ同時に、悪い意味での妙な生真面目さと業務管理的な眼差しがまとわりついているようでもある。

 

仕事なんだから真面目なのは悪いことではないんだろう。

でも、なんとなく座りが悪い。

 

いわゆる「お役所」というのは基本的に、本人が申請なり手続きなり相談なりを行い、それを受けて動き出す仕組みになっていると思う。

これには良い面も悪い面もあると個人的には思っているが、それはそれとして「学校事務職員」の仕事はそれとは順序が異なる傾向が強い。

 

教職員に対し該当する給与措置や福利厚生を提示する。

購入が必要と考えられる備品や消耗品を提案する。

 

経験を重ねた学校事務職員の多くはこうしたことを行っていて、またそういう風に機能することが重要だと巷間(狭い狭い巷間だが)には言われている。

 

ただ、それを「せねばならない」と言われればそれは違うのではないか、とも思う。

学校事務職員は教職員の資産コンサルタントではないし、教育活動上の用いる物品について教員が主体的に決定しない構造はよろしくない。

 

「してはならない」とは思わない。

私もやっている場面は少なくない。もっともそれは、土壇場で気付いてタイトな日程で手続き事務をさせられるのが嫌だからだが。

ただ、「せねばならない」とは思わない。

 

そういうライトな心構えを、忘れないようにしたい。