事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

膨張するデジタル・コロナが見せる社会の病

昨日は全学労連の事務局会議だった。

この会議のときは事前準備等もあり昼前には事務所に入るのだが、この事務所というのが急な坂を登り詰めた丘の上にあるので一度たどり着くと帰るまで下界には降りたくなくて、つまり昼御飯は調達の上で事務所に入る必要がある。

事務所にはポットはあるが電子レンジは置いてなくて、つまりカップ麺とかは大丈夫だけどお弁当を買って温めるというのはできない。私はあまりカップ麺を食べないので、必然的に温める必要のない食事を調達する必要がある。

以前は事務所の最寄り駅の駅前に安い蕎麦屋があって、そこで盛り蕎麦を持ち帰りにしていた。まあ、蕎麦は伸びるのだけどあまり気にせず。事務所に入って一通り準備をして会議が始まるまでの間に食べていた。

ところが、その蕎麦屋が閉店してしまった。

 

困った。

 

なんとなく、大切な会議の前の食事がおにぎりやパンというのは味気なくていけない。伸びた蕎麦なら良いのか?という疑問が飛んできそうだが、まあそれはそれ。

そんなこんなで全学労連事務局会議の日の昼食は毎回悩んでいる。

昨日は自宅で朝、チャーハン弁当を作って持っていった。前の晩の残りの豚汁もあったのでこれもスープジャーに入れて持っていった。チャーハン弁当は冷めても良い。これにさらに豚汁。気力みなぎる良い会議飯であった。

 

肝心の会議では、政府の来年度予算概算要求の分析、デジタル化が学校に及ぼす影響についてなどを情勢議論。それから秋の中央行動として、文科省財務省総務省教育委員会連合会との交渉、国会議員への要請活動、院内討論集会に向けた準備を進めた。

特にデジタル化と学校については、個人的にも重要課題だと考えている。目下、GIGAスクール構想という形で進行している政策の、その全体像・アウトラインはまだ定まったものではなく、政府全体のデジタル化推進方針とも相まって膨張し続けているものだと認識すべきだと思う。

GIGAスクール構想は単なる「1人1台端末と高速通信環境の整備」ではない。単なる「個別最適な学びの保障」でもない。

アウトラインを見つけなければ。

 

10月25日東京新聞朝刊12版より。

1面トップ、「コロナ差別 条例で「ノー」 20都県市で成立 広がる動き」。新型コロナウイルス感染症の罹患者や医療従事者を差別や誹謗中傷から守るため、差別禁止を盛り込んだ条例が広がっているという。今現に不当な差別・中傷に苦しんでいる人たちを救う動きとして、もちろん大切だ。

ただ、そもそもそんなことを条例化しなければならないこの社会こそが、重い病を抱えている。

 

21面、上記関連記事に「差別対策に自治体苦心 ネットのデマ投稿を監視 地域・警察・法務局と連携」。自治体がネット上の誹謗中傷やデマの投稿をチェックしたり、法務局がプロバイダーに削除依頼をしたりといった取り組みがあるという。差別・誹謗中傷を拡散させない具体的な取り組みとして、やはり評価できる。

 

しかし思う。

 

在日コリアンへの差別や誹謗中傷は、かねてよりネット上でも実社会でもばらまかれてきた。物言う在日コリアンに対しては、具体的に個人を特定しての暴言・脅迫もなされている。これに対して川崎市は「差別のない人権尊重のまちづくり条例」を制定し、ネット上のヘイトスピーチ投稿に対して差別防止対策等審査会での審査を経て、市が削除要請を行う仕組みが作られた。

しかし、この条例ができるまでに、そして実際に削除要請にこぎ着けるまでに、どれだけ時間がかかったことだろうか。抵抗の動きがあったことだろうか。

コロナ差別に対しては行政によるネットパトロールや削除要請といった取り組みが進む一方で、在日コリアン差別に対してのその歩みは遅々として進まない。

 

繰り返すが、コロナ差別に対する迅速な取り組みは評価できる。

しかし記事を読みながら、別の差別に対するとの落差がひっかかる。

 

この社会が、「許されない差別」と「許される差別」がある、という社会なのだとすれば、これもまた本当に、重い病を抱えていると思う。