事務室の鍾声~学校事務職員の発信実践

伊藤拓也 全国学校事務労働組合連絡会議(全学労連)、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)・川崎支部で学校事務労働運動に参加 川崎市立学校事務職員 Twitter→@it_zgrr

「感染症対策そっちのけで政局に明け暮れる政権与党」という批判がイマイチ高まらない不思議な国

安倍首相の突然の退陣を受け、自民党内における次期総裁選挙に向けた動きが耳目を賑わせている。しかしその中身は「派閥」と「勝ち馬」といったワードが飛び交う勢力争い・権力争奪戦の政局そのものだ。
日頃野党に向けて投げかけられる「政局より政策論議をやるべし」だとか「政局優先の反対のための反対はヤメロ」といった批判が、コロナ禍の最中にあって与党の地位にありながら政局に明け暮れる自民党に同じ口から向けられることはない。
結局、テレビを中心としたマスコミも、見るからに楽しげにこの政局報道を展開している。日頃したり顔で言われる「政局より政策」なんて、大ウソじゃないか。
菅氏が安倍路線の継承を掲げる一方で、岸田氏と石破氏は異なる路線をそれぞれ修正、転換を掲げていると言われている。しかし公然と批判してきた石破氏は百歩譲ってまだ置くとしても、安倍内閣で閣僚も務め現在は党政調会長である岸田氏の訴えは、いかに中身が良くても信頼を得られまい。
…などと、結局私も政局を語ってしまうのであった。

9月4日東京新聞朝刊11版より雑感。
25面:川口市いじめ事件をめぐり、埼玉県警が虚偽記載の可能性のある文書を作成したうえ、充分な事実確認もせず訂正を拒否したとの報。そもそも回答を5か月も延ばした経緯からして不誠実。公文書の扱いがどんどんぞんざいになっていく。
24面:航空自衛隊の元隊員か、退職を申し出たところ上司の小隊長から継続的に無視・暴言を受けた挙句、送別会の席で他の隊員の前で中傷「賞状」を読み上げられたと提訴。仲間にさえこうした陰湿なことをする軍であるなら、他者にはどういう行動を取るだろうか。原告は人格権の侵害を主張しているという。
24面:朝鮮学校無償化を求める愛知訴訟、最高裁で原告敗訴。司法は行政の裁量の観点から判断しているようだが、これこそまさに人格権の問題である。
7面:桐山桂一論説委員臨時国会召集問題をめぐり「憲法を踏みつけた政権」のタイトルで論評。15年、17年に続いて安倍政権は今回も憲法53条に基づく臨時国会召集義務を履行しなかった。臨時国会召集に求められる合理的期間とは「手続きに必要とされる期間」で「せいぜい二、三週間であろう」との憲法学者の記述が紹介されているが、組織運営実務に照らせば当然だろう。コロナという苦境だけではなく、臨時国会の召集からも「逃げた」と映る。